サッカー日本代表のエンブレムに描かれている、三本足の不思議な鳥。あれ、なんだろう?と気になったことはありませんか?実はあの鳥、日本神話に登場する「八咫烏(やたがらす)」という神の使いなんです。でも、なぜそんな神話の存在がサッカー日本代表の象徴になっているのか…。
そこには、日本サッカーと“神話”が思いがけない形でつながっている背景があるんです。今回は、サッカーと歴史が交差するちょっと不思議なお話をご紹介します。神話の世界を旅しながら、サムライブルーのルーツに迫っていきましょう!
八咫烏とは何者か?日本神話に登場する“導きの神鳥”
八咫烏(やたがらす)は、日本神話に登場する“三本足のカラス”で、太陽の化身、あるいは神の使いとして知られています。もっとも有名なのは『日本書紀』や『古事記』に記される、神武天皇の東征を導いたというエピソードです。熊野の山中で道に迷った神武天皇の前に突如現れ、正しい道を示してくれたとされています。
その姿は「八咫(やた)」=“とても大きな”という意味の名の通り、巨大なカラスだったと伝えられます。八咫烏はただの鳥ではなく、「天照大神」の意志を体現する存在として、人々の前に姿を現したとされることから、“神の導き”そのものとも言える存在です。
この神話から、八咫烏は「導き」「勝利」「正しき道」を象徴する存在として語り継がれ、日本の武家社会や戦国時代にも縁起物として信仰の対象となってきました。
三本足の謎|なぜ八咫烏は足が三本なのか?
八咫烏の最大の特徴とも言えるのが、通常の鳥とは異なる“三本足”の姿です。この奇妙な特徴には、古代からさまざまな解釈がなされてきました。
まず、中国の神話では、太陽に棲む霊鳥「三足烏(さんそくう)」が登場します。これは日輪に棲むとされ、三本の足は「天・地・人」の調和を表すとも、「朝・昼・夜」の三位一体を意味するとも言われます。日本の八咫烏もこの思想の影響を受けたとされており、ただの鳥ではなく“宇宙的バランス”や“神意の象徴”としての意味を込められたと考えられています。
また、陰陽道においても「三」は非常に縁起の良い数字とされ、完全性や調和を意味します。三本足のカラスは、自然の理(ことわり)を超えた神性の証でもあり、“普通ではない力を持つ存在”として畏敬されてきました。
JFAのエンブレムにも描かれている三本足の八咫烏は、単なるデザインではなく、こうした深い歴史と思想を背景にして選ばれたシンボルなのです。
JFAエンブレムに八咫烏が選ばれた理由とは?
日本サッカー協会(JFA)のシンボルマークに、なぜ八咫烏が採用されたのでしょうか。そのルーツは、1931年(昭和6年)に遡ります。当時、日本サッカー協会の創設メンバーであり、明治神宮の関係者でもあった人物が、「勝利へ導く神の象徴」として八咫烏を提案したと言われています。
明治以降、国家のアイデンティティと結びつく象徴を各競技団体が模索する中で、日本古来の神話に根ざした八咫烏は、まさに“日本らしさ”と“勝利への道”を兼ね備えた存在でした。
また、神武天皇を導いた八咫烏の神話は、「未開の地を切り開き、進むべき道を照らす」という意味で、サッカー日本代表の「世界への挑戦」とも重なります。JFAはその精神をシンボルに込める形で、八咫烏を正式に採用し、長く現在のエンブレムに受け継いでいるのです。
このシンボルは、単なる意匠ではなく、日本代表の誇りと精神の核を象徴する“神聖な存在”として、今なおサポーターや選手の心に生き続けています。
サムライブルーに宿る“神話の魂”|日本代表と八咫烏の精神的つながり
「サムライブルー」という愛称を持つサッカー日本代表。その名前には、日本の武士道精神と戦う姿勢が込められていますが、同時に“神話の魂”もまた、静かに息づいています。その象徴が、八咫烏です。
神武天皇の東征において、八咫烏はただ道案内をしたわけではありません。命の危機にあったときに現れ、迷いや不安を振り払う“精神的支柱”のような存在でした。これは、サッカー日本代表にとってのエンブレムにも通じます。選手たちは胸に刻まれた八咫烏のマークを背負い、勝利へと突き進む中で、自らの使命と誇りを感じているのです。
また、苦しい状況下で一丸となり、正しい判断をし、勝利への道を切り開く──。この姿は、まさに神話で描かれた八咫烏の“導き”そのもの。神話と現代のサッカーが、エンブレムを通じて静かにつながっているのです。
八咫烏に導かれた瞬間?日本代表を救った“神懸かり”のプレーたち
サッカーの試合では、「なんでこんな奇跡が起きたんだ?」と思わず鳥肌が立つような瞬間があります。僕自身、日本代表の試合を見ていて、まるで八咫烏が背中を押したんじゃないかと思うプレーを何度も目にしてきました。ドーハの悲劇、ジョホールバルの歓喜など日本代表は、数々のドラマを持っているなと・・・。
2010年W杯・本田圭佑のフリーキックは、その一つ。ボールが放たれた瞬間の静寂、ネットを揺らした瞬間の歓喜──あの一撃は、まさに“神懸かっていた”と思います。そして、2022年の三笘薫の“1ミリ”の折り返し。正直、あの場面は「導かれてる」としか思えませんでした。
もちろん偶然かもしれません。でも、サムライブルーが世界の舞台で輝くその背後に、八咫烏の存在を重ねてみると、サッカーの楽しみ方がまた一つ広がる気がするんですよね。八咫烏のおかげ!笑
まとめ|八咫烏とともに歩むサッカー日本代表の物語
八咫烏は、ただの神話上の存在ではなく、今も日本代表のエンブレムの中で生き続けています。
導きの象徴であるこの神の鳥は、時に苦境を照らし、時に奇跡のような瞬間をもたらしてきました。
もちろん、すべてが神の力とは言いません。けれど、僕たちが代表戦を見て心を動かされるその背景には、古くから受け継がれてきた“日本人の精神性”や“見えない力を信じる文化”があるのではないでしょうか。
八咫烏とともに歩むサムライブルーの物語は、これからも続いていきます。
その先に、どんな“導き”が待っているのか──楽しみに見守りたいと思います。
トップ・アイキャッチ画像引用元:YouTube JFATV Team Cam vol.03|グループ首位確定、本戦に向け新たなスタート。サウジアラビア戦の舞台裏|SAMURAI BLUE |AFC Asian Qualifiers – Road to 26